嘘の続きは
「んー、タイミングっていうか、とにかくそんな大事なことを聞ける状態じゃなかったって言うか。プロポーズって一生に一度なのにって思って今はヤメテって真島さんを止めて・・・ってそう言えば結局そのままになってたね、うん」

その後が怒涛の展開でそう言えば忘れてました。
そう。あれからプロポーズまだでした。

家具や日用品を買いに行って、両親に挨拶して、役所や会社、金融機関への手続きとかに追われていてそのままだった。

でも、もう籍入っているし。

ここ数週間で結婚って、姓を変えるってすごく大変なことだって思い知って。
真島さんも忙しくってゆっくり話ができる状況じゃなかった。
一緒に住んでいるからこそ毎日顔を見ることができていたくらいで。

「何てことかしら」

ううう、真紀の顔が怖い。

「今真島さんが忙しいのお姉ちゃんだって知ってるじゃない」

それについて真紀は何も言えないはずだ。
自分たちの結婚式や披露宴が控えているだけじゃなくてタカトと果菜ちゃんの結婚式だってある。あの事務所は他にも大河ドラマの主演が決まった俳優さんや全国ツアーが決まっているバンドもトップアイドルも抱えている。

それに山崎社長が旦那さまが病気になったのをきっかけに旦那さまとの時間を大事にしたいと言って社長を退任することになった。
後任は副社長をしている社長の弟さんが就くことになっているけれど、社長姉弟からの信頼の厚い専務の真島さんの負担は大きい。

今回のシンガポール出張も海外プロモーターに顔繫ぎに行っているみたいだし。
ただの会社員の私には芸能界のことはよくわからないけれど、とにかく彼は忙しそうだ。
< 147 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop