嘘の続きは
姉夫婦の部屋に遊びに行ってから二日後の金曜日、私は有給休暇を取っていた。
夜は姉夫婦と夕食だ。
姉夫婦から迎えに行くと言われたのを用事があるからと断って地下鉄に乗り麻布十番駅で降りる。
お義兄さんの仕事が押しているから先に店に入っていて欲しいと真紀から連絡が来たからそう急がなくても大丈夫だ。
駅からすぐの場所にあるシェフのお店に行くのはこれで二回目。
食べるチャンスだけならばこれで3回目。
前回は真島さんに連れ出されて食べられなかったし、その前は真紀の影武者をするためにやっととれた予約をキャンセルする羽目になっていた。
今回こその意気込みがすごくても当たり前というもの。
前回来た時はパーティー風の試食会だったためにざわざわとしていた印象だったのが今夜は一転して落ち着いた大人のお店という違った雰囲気に包まれて静かに建っていた。
三度目の正直と小さく意気込んでオリーブの木が植えこみの横にある大きな木製のドアに手をかけようとした途端背後から声をかけられた。
「あれ?もしかして秋野さん」
「はい?」
振り返って声をかけてきた男性の顔は知らない人のもので、自分の迂闊さを呪った。
聞こえないフリをしてお店に入るべきだったかもしれない。
芸能界特有のにおいのする人だ、と思った。
夜は姉夫婦と夕食だ。
姉夫婦から迎えに行くと言われたのを用事があるからと断って地下鉄に乗り麻布十番駅で降りる。
お義兄さんの仕事が押しているから先に店に入っていて欲しいと真紀から連絡が来たからそう急がなくても大丈夫だ。
駅からすぐの場所にあるシェフのお店に行くのはこれで二回目。
食べるチャンスだけならばこれで3回目。
前回は真島さんに連れ出されて食べられなかったし、その前は真紀の影武者をするためにやっととれた予約をキャンセルする羽目になっていた。
今回こその意気込みがすごくても当たり前というもの。
前回来た時はパーティー風の試食会だったためにざわざわとしていた印象だったのが今夜は一転して落ち着いた大人のお店という違った雰囲気に包まれて静かに建っていた。
三度目の正直と小さく意気込んでオリーブの木が植えこみの横にある大きな木製のドアに手をかけようとした途端背後から声をかけられた。
「あれ?もしかして秋野さん」
「はい?」
振り返って声をかけてきた男性の顔は知らない人のもので、自分の迂闊さを呪った。
聞こえないフリをしてお店に入るべきだったかもしれない。
芸能界特有のにおいのする人だ、と思った。