嘘の続きは
「秋野真紀の妹さんだよね」
話しかけてきた男の顔をじっと観察するように見てみるけれど、見覚えはない。
30代半ばだろうか。
高級そうなハーフコートに身を包み、そこそこ整った顔をしている。
細めの眉に尖った顎は私の好みではないけれど。
「・・・・」
「警戒しないで。いきなり話しかけたのは申し訳なかったけれど」
いきなり話しかけられて警戒しないはずがないじゃない。
視線は外さず無言で拒否の姿勢を取った。
「ここで会ったのも何かの縁だし。よかったらちょっと話を聞いてもらえないかな?」
「おことーー」
「お断りします」
私の声にかぶせてきたのは私の大好きな人の声で。
驚いて隣を見ると、急いで駆けつけたって感じで少し前髪を乱した真島さんが立っていた。
私に声をかけてきた男の人は真島さんの姿を見ると、明らかに顔をしかめる。
「私はあなたと話しているんじゃありません。秋野さんと話をしているんですが」
「彼女に近付かないでいただきたい。柿崎さん。あなたの事務所もあなた個人も」
真島さんが私を隠すように柿崎という男性の間に半身を割り込むようにしてくれたから彼の背中に庇われて緊張していた私の呼吸が楽になる。
「真島専務。あなたは秋野真紀のマネージメント契約はしていても妹にまで口を出す権利はないはずだと思いますが。未成年ならともかく彼女は立派な成人だ。私は彼女と話がしたい。彼女は磨けば光る女優になるはずだ。その才能を糧に潰すのはどうかと思うが」
話しかけてきた男の顔をじっと観察するように見てみるけれど、見覚えはない。
30代半ばだろうか。
高級そうなハーフコートに身を包み、そこそこ整った顔をしている。
細めの眉に尖った顎は私の好みではないけれど。
「・・・・」
「警戒しないで。いきなり話しかけたのは申し訳なかったけれど」
いきなり話しかけられて警戒しないはずがないじゃない。
視線は外さず無言で拒否の姿勢を取った。
「ここで会ったのも何かの縁だし。よかったらちょっと話を聞いてもらえないかな?」
「おことーー」
「お断りします」
私の声にかぶせてきたのは私の大好きな人の声で。
驚いて隣を見ると、急いで駆けつけたって感じで少し前髪を乱した真島さんが立っていた。
私に声をかけてきた男の人は真島さんの姿を見ると、明らかに顔をしかめる。
「私はあなたと話しているんじゃありません。秋野さんと話をしているんですが」
「彼女に近付かないでいただきたい。柿崎さん。あなたの事務所もあなた個人も」
真島さんが私を隠すように柿崎という男性の間に半身を割り込むようにしてくれたから彼の背中に庇われて緊張していた私の呼吸が楽になる。
「真島専務。あなたは秋野真紀のマネージメント契約はしていても妹にまで口を出す権利はないはずだと思いますが。未成年ならともかく彼女は立派な成人だ。私は彼女と話がしたい。彼女は磨けば光る女優になるはずだ。その才能を糧に潰すのはどうかと思うが」