嘘の続きは
「でも」
「でもじゃない。いいから朋花は美味しく料理を食べることだけ考えろ。あの二人にはこの先だってまた散々な目に遭わされることが決まってる。このくらいのことで動揺する必要なんてないぞ。俺たちはあれらと身内になっちまったんだ。潔く諦めろ」

”あれら”って・・・。
思わずクスリと笑ってしまう。
そうか、もう私も真島さんもお姉ちゃんも隼人さんも真島さんのご両親もうちの両親もみんなみんな家族なんだ。


「まあ何だかよくわからないけど、楽しんでってよ。隼人さんに頼まれてる特別メニューを提供するから」
丸山シェフが苦笑している。

特別メニュー?

私が顔をあげると丸山シェフが
「好物は白身の魚とブラックオリーブ、ポルチーニ茸。嫌いなものはキウイとキャビア。エージのはーーーまあどうでもいい」
自信たっぷりに胸を張る。

私の好き嫌い情報の出どころは姉の真紀からで間違いないだろう。
姉夫婦は本当に私たちのためにこの席を準備してくれたらしい。


チラリと真島さんの顔を見ると満足そうに頷いているから「ありがとうございます。お願いします」と丸山シェフに頭を下げた。

「では早速ご用意いたします」と丸山シェフは料理人のスイッチが入ったのかとても丁寧に綺麗な一礼して部屋を出て行ったのだった。


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