嘘の続きは
「そういう真島さんは後悔してないの?」

彼の方こそ結婚相手は選り取りみどりのはず。
見た目、性格、地位、収入と持てるものは全て手にしているのだから。

私を選んだのは私が一途に彼のことが好きだったから、私に対して責任を感じていて…だとはもう思わないけど理由の一部にはなっているだろう。

「しないよ。するわけないだろ。俺の隣は朋花じゃなきゃいらないんだから」

彼の強い言葉に私の胸の奥がじんじんと痺れるように温かくなる。

手を繋いでいるだけでは足りなくなって、空いている左腕も繋いだ手に絡ませた。
距離が近すぎる?ううん、私たちは新婚なんだからこのくらい許されるでしょう。

彼の顔を見あげると、優しい笑顔が戻ってきて安心する。
やっぱりこの人が好きだ。

遠回りしても長い時間待たされても彼の隣というこの場所にいられてよかった。

『かけ違えたボタンなら直せばいいのよ』と果菜ちゃんが言っていた。

ボタン、掛け違いを直したらすっきりして落ち着いたよって果菜ちゃんに言わないとね。
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