嘘の続きは
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真紀からの影武者の依頼は不定期だった。

彼らはお互い忙しい芸能人でデートは深夜ということもある。

私が影武者をする日は真紀のマンションに泊まることになることが多かった。そこから会社に出勤したり、そのまま数日過ごすこともあった。実姉とのルームシェアは思ったよりも快適で、同居に関しては特に問題はなかった。

問題があるとすれば、
ーーーやっぱりあの男の存在だけ。

あれから何度も影武者として働いていた。
でも、その度に送迎役があの男で。
お互いほとんど口をきかないけど、あの男は周囲へのアピールのためにたまに私を「真紀」と呼ぶ。
それが私を苛立たせる。


一緒にいることが苦痛で真紀にも真紀のマネージャーにも文句を言ったけれど、「空いている人が専務しかいない」とずっとかわされていたのだ。

そんなはずないでしょうと思うけれど、影武者の存在を知っているのがほんの数人だけのトップシークレットだ。
本当にそうなのかもしれない。

真紀の格好をして現場から自宅マンションに戻る、それだけの仕事だけど、現場を出るときマンションに入る時、時々人の目を感じることがあって身体がこわばるほどかなり緊張する。

でも次第にあの男と一緒にいることで次第にどこか共犯者としての感情も生まれてきていた。
苛立ちはするけれど、真紀のことを知り尽くしていて秘密を共有するあの男が一緒にいてくれることで大丈夫と思ってしまう自分もいた。
それはかなり不本意ではあるけれど。
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