嘘の続きは
*****
記者会見前日。
今から真紀は西さんの事務所関係者との明日の記者会見の最終打ち合わせに向かうのだ。
「さぁ、完成よ」
田所さんが私の両肩をぽんっと叩いて鏡の向こう側でにこりと笑う。
自分でない自分。
真紀に似た顔が鏡の中にいる。
それも今夜で終わり。
ーーーそしてあの男に会うのもこれで終わりだ。がんばれ、私。
心の中で大きく自分を励まして、姉に笑顔を向けた。
「さあ、今日で影武者も終わり。もう二度と私は真紀にはならないからね」
「もちろんわかってる。明日の記者会見しっかり見てて」
真紀は家族の前で見せる素の姉の顔をしていた。そのことに安心する自分と大好きな姉を取られてしまうような寂しさを感じる自分。
二つの感情と、もう一つ。
もうこの先あの男との接点はほとんどなくなるだろうことに対して気持ちが揺れていた。
この日を待ちわびていたのに、あれからずっと心がざわざわとする。
これから姉を守る力は更に大きくなる。大物俳優の西隼人さんが後ろに付くことによって良くも悪くも更に芸能界での後ろ盾が確保されたことになる。
今までは自分の所属事務所が全てだった。
だけど、将来の夫である西隼人さんは姉よりも更にあの世界で地位を確立している俳優であることは間違いないし、彼の所属事務所は業界最大手の一つである。
姉は今後も移籍する気持ちなどないようだけれど、今後何かあった時には彼の事務所も姉の大きな後ろ盾になることは間違いないだろう。
記者会見前日。
今から真紀は西さんの事務所関係者との明日の記者会見の最終打ち合わせに向かうのだ。
「さぁ、完成よ」
田所さんが私の両肩をぽんっと叩いて鏡の向こう側でにこりと笑う。
自分でない自分。
真紀に似た顔が鏡の中にいる。
それも今夜で終わり。
ーーーそしてあの男に会うのもこれで終わりだ。がんばれ、私。
心の中で大きく自分を励まして、姉に笑顔を向けた。
「さあ、今日で影武者も終わり。もう二度と私は真紀にはならないからね」
「もちろんわかってる。明日の記者会見しっかり見てて」
真紀は家族の前で見せる素の姉の顔をしていた。そのことに安心する自分と大好きな姉を取られてしまうような寂しさを感じる自分。
二つの感情と、もう一つ。
もうこの先あの男との接点はほとんどなくなるだろうことに対して気持ちが揺れていた。
この日を待ちわびていたのに、あれからずっと心がざわざわとする。
これから姉を守る力は更に大きくなる。大物俳優の西隼人さんが後ろに付くことによって良くも悪くも更に芸能界での後ろ盾が確保されたことになる。
今までは自分の所属事務所が全てだった。
だけど、将来の夫である西隼人さんは姉よりも更にあの世界で地位を確立している俳優であることは間違いないし、彼の所属事務所は業界最大手の一つである。
姉は今後も移籍する気持ちなどないようだけれど、今後何かあった時には彼の事務所も姉の大きな後ろ盾になることは間違いないだろう。