嘘の続きは
「--あのぉ、秋野さんって毎朝じっくりスポーツ新聞読んでますよね。それって、競馬とか競艇とか?」
はじめに声をかけてきたのは海外事業部の東さんだった。入社はわたしの2年下のはず。
男性に対しては失礼かもしれないけれど、爽やかな笑顔の可愛い系男子だ。
競馬か競艇ってねえ。
「そう見えます?」
「はい」
素直な返事が返ってきて周りを見回すとそこにいた4人ほども東さん同様に頷いている。
そうか、スポーツ新聞ってギャンブルの紙面が多かったりするからね。
「競馬とかじゃなくてですねぇー」
「あ、もしかして、囲碁とか将棋のとこ?それとも芸能欄とか?」
「ああ、そっか。お姉ちゃん絡み?私、この間観たわよ。『蝙蝠男爵の恋愛観』よかったわぁ」
「何、コウモリなんとかって」
「舞台よ、舞台。何と秋野真紀さんがストーカー役なの。でねー」
その場にいた何人かがいきなり勢いづいて話し始めた。
心の中で大きくため息をつく。
この流れーーーいつもと同じだーーー。
自己紹介しなくても私がどこの誰かということがわかっているらしい。
秋野真紀と姉妹って言われるとそう言えばどことなく似てるよね
ね、お姉さんってどんなヒト?
お姉さんのプライベートって。
他の芸能人に会ったことある?
ーーーま、こんな感じか。
どいつもこいつも真紀真紀真紀真紀って・・・もううんざり。
顔に出さないように心の中で毒づく。
「な、そんなことよりコウモリって漢字ってどう書くんだっけ?」
え?
発言した男性社員の顔をじっと見てしまう。
確か営業の人。私と同じ総務の鈴本さんの同期だったはずだからもうすぐ30才くらい。
その人の口から出たのが”そんなことより”。
「コウモリは虫へんにヘンと虫へんにフクじゃないですか」
返事をした東くんの顔を見つめる。
「ヘンって何?」
「とだれに一冊二冊の冊ですよ」
えええ?
はじめに声をかけてきたのは海外事業部の東さんだった。入社はわたしの2年下のはず。
男性に対しては失礼かもしれないけれど、爽やかな笑顔の可愛い系男子だ。
競馬か競艇ってねえ。
「そう見えます?」
「はい」
素直な返事が返ってきて周りを見回すとそこにいた4人ほども東さん同様に頷いている。
そうか、スポーツ新聞ってギャンブルの紙面が多かったりするからね。
「競馬とかじゃなくてですねぇー」
「あ、もしかして、囲碁とか将棋のとこ?それとも芸能欄とか?」
「ああ、そっか。お姉ちゃん絡み?私、この間観たわよ。『蝙蝠男爵の恋愛観』よかったわぁ」
「何、コウモリなんとかって」
「舞台よ、舞台。何と秋野真紀さんがストーカー役なの。でねー」
その場にいた何人かがいきなり勢いづいて話し始めた。
心の中で大きくため息をつく。
この流れーーーいつもと同じだーーー。
自己紹介しなくても私がどこの誰かということがわかっているらしい。
秋野真紀と姉妹って言われるとそう言えばどことなく似てるよね
ね、お姉さんってどんなヒト?
お姉さんのプライベートって。
他の芸能人に会ったことある?
ーーーま、こんな感じか。
どいつもこいつも真紀真紀真紀真紀って・・・もううんざり。
顔に出さないように心の中で毒づく。
「な、そんなことよりコウモリって漢字ってどう書くんだっけ?」
え?
発言した男性社員の顔をじっと見てしまう。
確か営業の人。私と同じ総務の鈴本さんの同期だったはずだからもうすぐ30才くらい。
その人の口から出たのが”そんなことより”。
「コウモリは虫へんにヘンと虫へんにフクじゃないですか」
返事をした東くんの顔を見つめる。
「ヘンって何?」
「とだれに一冊二冊の冊ですよ」
えええ?