嘘の続きは
「ああ。それじゃあ”ふく”は?」
「福は内の福からしめすへんを取ったやつですよね」
「え?福山雅治の福?」
「そこは福岡の福でよくないですか?」
「福袋っていう言い方もー」

「ーーーああ、そういえば今日の月齢っていくつですか?」
「新聞では21.1日って。月齢で何かの売り上げが違うの?」

「ねえ、誰か、昨日の株価ってーーー」
「ブラジルの大統領選なんですけどねーー」

カオス??

室内のあちこちから声が飛んできて自分の参加したい話に加わり興味のない話はスルーしているらしい。
私の常識から大きく外れた人たちの会話が私の頭越しに交わされている。
もはや誰も私や真紀の話など興味のかけらもないらしく会話の端にものぼらない。

新聞を読んでいると思えば会話に入っってきたり、また手元に目を落として自分の世界に入って行く人もいる・・・・なんかかなり自由だな、この人たち。

ふふっと笑ってしまう。

「あら、あなた、受付に座ってる時より本当はずいぶん美人さんなのね」

私の笑いに気が付いた法務の沢田さんがニコッとした。この人は、確か女性管理職でアラフォー世代だったはず。

首をかしげると「いつも機械的な微笑みだから」と言われて納得する。

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