嘘の続きは
「かわいいんだからそうやって笑っていればいいのに。ねえ男性諸君?」

「そーですね。でも、受付でそんな笑顔を見せているとバカな勘違いした男にセクハラされたり女子の嫌がらせに遭うって可能性もあるし、その方が面倒くさいっすよね」

「かわいい笑顔は嬉しいけどなあ」

「かわいいと言えばここの下にあるコンビニの新商品に花柄の皿がオマケで付いてくるらしいんだけど知ってるか?」

どうやらまた新しい話が始まった。

「ああ、買ってきたサンドイッチを乗せるのにちょうどいいってやつですか?」

「そう、それ。その皿欲しさに女の子たちが外食やめてサンドイッチ買ってるから売り上げ伸びたって話だぞ」

「かわいいんすか、それ」

「あー、聞いたわ。花柄の中に隠れ何とかってキャラクターがいるとかってやつでしょ?」

「かわいいって女子社員が騒いでましたよ。俺にはさっぱりでしたけど」

「いっそのこと皿にサンドイッチ付けて売ればいいのに」

「販促品って多種多様に出たけど、どっちがオマケかわからないものが多いですもんね」

盛り上がりを見せる彼らの会話に戸惑いを覚える。
ーーーええっと。そもそも私の笑顔の話ではなかったのかな?
いつの間にかお皿の話になってるし。

別に私の話をして欲しいわけじゃないけれど。

何だかとてもこの空気感が心地いい。
私は芸能人の妹であって妹でないような。どこの誰でもいい、ここに馴染めるのならここに居ればいいと言われたような気持ちになった。

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