嘘の続きは
「アペリティーヴォもらってきますよ。何かリクエストありますか?」
松下君の視線が奥のバーコーナーを差している。
「なら、松下君のお勧めで。ここのは全部試飲済みなんでしょ?」
松下さんは自信満々と言った笑顔を見せて「任せてください」とバーコーナーに向かってくれたから、私はアンティパストの並ぶテーブルに目を走らせた。
グリルキャベツのアンチョビソース。
サーモンとブラックオリーブの乗ったブルスケッタ。
たことブロッコリーのゼリー寄せが小さなお皿に盛り付けてある。
隣のテーブルにも違う種類のアンティパストがあるからこっちを食べたら隣のを食べなくちゃ。
その隣にはピザやパスタ、リゾット。その向こうにはアクアパッツアや何かのパイ包み、こんがりジューシーな焼き加減のお肉もあるみたい。
ドルチェまで辿り着けるか自分のお腹が心配だ。
「秋野さん。珍しく仮面が剥がれてますよ」
「あら、そうかしら」
東くんに指摘されて自分の頬に両手を当てる。
確かにかなり頬が緩んでいる。
「いつもの受付嬢のマネキンみたいな微笑みから素の秋野さんに戻ってます。あのイタリアのチョコレートを食べてるときみたいに」
「うん、そうねー。これ見たらもうわくわくが止まらないもの。実は丸山シェフの料理が食べてみたくて先月予約していたんだけど、急な用事でキャンセルしちゃってそのまま今に至るってわけーーーだからこれに誘ってくれた松下さんには大感謝」
その急な用事とは真紀の影武者だったんだけど。
あの時ばかりは真紀を恨んだっけなぁ。
松下君の視線が奥のバーコーナーを差している。
「なら、松下君のお勧めで。ここのは全部試飲済みなんでしょ?」
松下さんは自信満々と言った笑顔を見せて「任せてください」とバーコーナーに向かってくれたから、私はアンティパストの並ぶテーブルに目を走らせた。
グリルキャベツのアンチョビソース。
サーモンとブラックオリーブの乗ったブルスケッタ。
たことブロッコリーのゼリー寄せが小さなお皿に盛り付けてある。
隣のテーブルにも違う種類のアンティパストがあるからこっちを食べたら隣のを食べなくちゃ。
その隣にはピザやパスタ、リゾット。その向こうにはアクアパッツアや何かのパイ包み、こんがりジューシーな焼き加減のお肉もあるみたい。
ドルチェまで辿り着けるか自分のお腹が心配だ。
「秋野さん。珍しく仮面が剥がれてますよ」
「あら、そうかしら」
東くんに指摘されて自分の頬に両手を当てる。
確かにかなり頬が緩んでいる。
「いつもの受付嬢のマネキンみたいな微笑みから素の秋野さんに戻ってます。あのイタリアのチョコレートを食べてるときみたいに」
「うん、そうねー。これ見たらもうわくわくが止まらないもの。実は丸山シェフの料理が食べてみたくて先月予約していたんだけど、急な用事でキャンセルしちゃってそのまま今に至るってわけーーーだからこれに誘ってくれた松下さんには大感謝」
その急な用事とは真紀の影武者だったんだけど。
あの時ばかりは真紀を恨んだっけなぁ。