嘘の続きは
真紀は本当に綺麗な女になっていた。
清純派を脱却してここ1年程で更に磨きがかかったように、悪女役をも見事にこなし主演女優賞も獲ったし、次の映画もCMも決まっている。
「今騒がれるのは困るの。でも、隼人さんのことは諦めたくない」
まだマスコミに知られるわけにはいかないのだと。
それにはお互いの事務所やスポンサー、撮影中のドラマや映画などの仕事の事情が複雑に絡んでいるらしい。
真紀のダークブラウンの瞳からは視線だけじゃなくて強い何かが出ているように私を射抜いてくる。
この仕事をしているせいで今まで多くのものを我慢し諦めてきた姉が全身全霊で西隼人を欲しているのがわかった。
「お相手…西さんも本気なの?」
「まだわからないーーーでも、だからもっと彼のことを深く知りたいし、彼には私のことをちゃんと知って欲しいの。お願いよ、朋花」
真紀は私の強い視線を真っ直ぐに受け止めてそう言った。
どうやら姉はずいぶんと本気らしい。
私はため息をつきながらスマホを開いた。
「お姉ちゃんのスケジュール、教えておいて」
真紀の表情がぱあっと明るくなるのが見えた。