嘘の続きは
ぐいぐいと引っ張られてとうとう店の外に連れ出されてしまった。

そして店の裏手にある業者用の搬入口に向かう路地の壁と真島さんの間に挟まれている状態だ。

何だろう、これ。
真島さんは珍しく不機嫌な表情を隠していない。

「朋花」

真島さんの尖った怒りを含んだ声にびくりと身体が震える。けれど今は怯んでいる場合じゃない。

「なんですか?私、今はもう真紀の影武者じゃないんで文句言われるような立場じゃありませんけどっ」
掴まれていた腕を強引に振り払った。

いつになく反抗的な私に驚いたらしい真島さんが動きを止めて私を見下ろした。

「だから、私はもう大人です。私がどこで何をしようと姉の所属事務所の専務さんにどうこう言われる筋合いはないでしょ」

「俺には関係ないと?」

真島さんの目が細められ、禍々しい怒りのオーラが伝わってくるような気がするけれど、こっちももう止められない。

「そう。何の関係もないはずです。お姉ちゃんとは関係ない仕事をしているし、私のプライベートなんか事務所に関係ない。迷惑かけてませんからっ」

ここが路上だということも忘れて声を張り上げた。
だってこんなの酷い。
私は芸能人でも何でもない。なのにどうして行動が規制されるのだろうか。

「事務所には関係ないが、俺にはある」

背の高い真島さんに見下ろされるように言われて私の怒りの炎が更に大きくなる。

「真紀、真紀、真紀、真紀!ってもううんざりよっ」
初めて真紀のことで彼を真正面から非難した。

「いつまで私は自分自身の人生を遠慮しながら生きていかなくてはいけないの?!真紀の邪魔にならないように、そんなことばっかり」
もう嫌なの!と叫ぶように声を上げた。

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