嘘の続きは
目を見開いている私の目の前には目を閉じた真島さんの顔のどアップが。

ど、ど、ど、どどういう事。

また背中を殴ってみるけれど、今度は効果がないどころかますます後頭部に回された手の力が強くなってしまう。

自慢じゃないけど、私はこの手のことに慣れていない。
こんな時どうしたらいいのかわからない。

離れようと抵抗しても力負けして離れることができないし、段々息苦しくなってくる。

思わず口を少し開いてしまったらぬるりと温かいものが侵入してきて背筋がぞわりとする。

これって。
もしかして舌。

どんどんキスが深くなっていく気配に心臓が暴れだす。

動揺して足をばたつかせたら偶然私のヒールのつま先が真島さんの左脛に入ったらしい。
うっという呻き声と共に唇が離れて行った。

「何するんですか」
震える声で睨みつけると、
「朋花が悪い」
と脛を押さえながら更に睨み返されて余計にわけがわからない。

「一体私が何をしたって言うのよ」
荒い呼吸のまま言い返すと真島さんの眉間のシワはより深くなる。

「朋花があんなところでイチャイチャとしているからだろう。誰だ、あの男は。いつから付き合ってる」

イチャイチャ?付き合ってる?
誰が誰と?

「仕事で来たというのならイチャイチャする必要はないだろう」

・・・もしかしたらこの人は私が東くんの口にブルスケッタを押し込んだことを言っているんだろうか。
見てたんだろうか、あれを。

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