嘘の続きは
・・・その映画祭にはLARGOも参加する。
西隼人の主演映画の主題歌を担当したLARGOが特別に会場で演奏することになっているのだ。

真紀とLARGOのメンバーは親しくしている関係--といえば聞こえがいいが、一方的に真紀が彼らをからかっているような、彼らにしたらとんでもなく迷惑な存在だろう。

木田川さんが言うのももっともだ。
なぜ姫と朋花の二人が地元局とはいえテレビに出ることになってしまったのかはわからないが、真紀はこの状況を非常に面白がっているのではないだろうか。

地方局ということで油断があったのかもしれないが、慎重派の朋花のことだから、避けられない何かがあったとしか考えられない。

内線で事務所スタッフに最速の新千歳空港行きの飛行機のチケットを取るように指示して、専務室内のロッカーから常備している着替えを取り出しキャリーバッグに詰め込むとすぐに羽田空港に向かった。

ギリギリで乗り込みほっと息をついたのは離陸間近の飛行機の中だった。



夜の空港に来ると決まって思い出すことがある。

「夜の空港って幻想的ですよね。今までテレビや映画でしか見たことなかったから、いま自分がここに居るなんて信じられない」
そう言って頬を染めキラキラした瞳で空港のデッキから滑走路を見つめていたのはまだ高校生だった頃の朋花だ。

< 77 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop