嘘の続きは
****

新千歳空港近くのホテルに着いた途端に鳴り出した俺の携帯電話。

「そろそろ北海道に着いた頃だと思って。当たった?」

「真紀、俺の行動を読むな」
全く誰のせいでここに居ると思ってるんだ。

「真島さんが朋花をほっとくわけないと思って」

電話の向こうのクスクス笑いが気に入らない。

「タカトの姫に何かあっても困るんだよ。お前が一緒にいるからなおさら心配なんだ。大体なんでこっちにお前の妹とタカトの姫がいるんだ」

「一緒にお肉とお寿司を食べようと思ってぇー。新婚の果菜ちゃんにどうせなら美味しいものをご馳走してあげたかったのよね」

「それで、旦那のタカトに秘密であいつの溺愛する妻を連れ出した言い訳の方はどうなってるんだ?」

「やだ、サプライズってやつよ。明日の映画祭で会わせてあげようと思っただけじゃないの。タカトだって愛妻に会いたくないわけないでしょ。で、新妻の果菜ちゃんには夫の晴れ舞台の映画祭のレッドカーペットとステージを見せてあげようって親切心よぉ」

全く、どの口が親切心といいってるんだか。
「ただタカトをからかいたいだけだろうが」

あははっという笑い声の後に「そうともいうわね」と真紀は完全に面白がっている。

俺と真紀の関係は昔は保護者と被保護者の関係に近いものだったがいつの間にか戦友に近いものに変わっていた。
< 81 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop