嘘の続きは
さっきまで姫の腕をつかんでいた男は今にも倒れそうなくらい真っ青な顔をしていた。
おそらくナンパ目的で近くにいた可愛い女性の腕をちょっとつかんだだけだろうが、どう考えても相手が悪かった。
男は知らなかったのだろう、自分がつかんだ女性がLARGOのギタリスト、タカトの最愛の恋人”月の姫”の果菜さんだったとは。
姫に気が付いた周囲の若者たちによって阻止されやっと自分の犯した愚かな行いに気が付いたらしい。
真っ青なのは朋花も同じだった。
「ごめんなさい。直ぐに行きますから」
震える声で姫の手を握って関係者通用口に向かおうとしている。
「あ、待って」
歩き出す前に姫が人垣に向かって振り返ると、自分をつかんでいた男に注意してくれた若者たちに再び綺麗な所作で頭を下げた。
「ありがとうございます。本当にご迷惑をおかけしました」
タカトの姫に謝罪された若者たちの顔が次々と紅潮していく。男だけでなくそれは女の子たちも同様で。
「姫~気にしないで」
「笑ってー」
「姫ー、こっち向いて」
次々と姫に対する声援が上がり始める。
彼女の好感度が上がるのは喜ばしいことだが、これ以上の騒ぎはかなりまずい。
「もういいですよ。果菜さんの気持ちは伝わったでしょう。これ以上は次のトラブルを招くことになるかもしれないので、早く中に入ってください」
もう一度頭を下げた姫の身体に手を回して早く行くよう圧力をかけるように通用口に向かわせた。
俺の背中に「おじさん邪魔~姫が見えない~」と非難めいた声がかかったが聞こえないフリをした。
オジサンか。
そりゃそうだ、来月にはもう40才になるのだから。
おそらくナンパ目的で近くにいた可愛い女性の腕をちょっとつかんだだけだろうが、どう考えても相手が悪かった。
男は知らなかったのだろう、自分がつかんだ女性がLARGOのギタリスト、タカトの最愛の恋人”月の姫”の果菜さんだったとは。
姫に気が付いた周囲の若者たちによって阻止されやっと自分の犯した愚かな行いに気が付いたらしい。
真っ青なのは朋花も同じだった。
「ごめんなさい。直ぐに行きますから」
震える声で姫の手を握って関係者通用口に向かおうとしている。
「あ、待って」
歩き出す前に姫が人垣に向かって振り返ると、自分をつかんでいた男に注意してくれた若者たちに再び綺麗な所作で頭を下げた。
「ありがとうございます。本当にご迷惑をおかけしました」
タカトの姫に謝罪された若者たちの顔が次々と紅潮していく。男だけでなくそれは女の子たちも同様で。
「姫~気にしないで」
「笑ってー」
「姫ー、こっち向いて」
次々と姫に対する声援が上がり始める。
彼女の好感度が上がるのは喜ばしいことだが、これ以上の騒ぎはかなりまずい。
「もういいですよ。果菜さんの気持ちは伝わったでしょう。これ以上は次のトラブルを招くことになるかもしれないので、早く中に入ってください」
もう一度頭を下げた姫の身体に手を回して早く行くよう圧力をかけるように通用口に向かわせた。
俺の背中に「おじさん邪魔~姫が見えない~」と非難めいた声がかかったが聞こえないフリをした。
オジサンか。
そりゃそうだ、来月にはもう40才になるのだから。