秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 うちの会社の社長は女性なので、その点の理解が深いのでありがたい。

 ベージュで統一されたジャケットとスカートに着替え、ヌーディーなストッキングを穿く。そしてプレーンなヒールを履いて、首元にはスカーフを巻いて完成。

 高級マンションのコンシェルジュになって、早2年。やっと全ての仕事を覚えたところだ。

 最初のころは、先輩に指示を仰ぎながらやっていたけれど、最近ではやっと自分でいろいろと判断できるようになってきた。
 後輩もできたし、住人の方たちに顔も覚えてもらい、スムーズに仕事ができるようになってきたので、大変ながらも楽しくやっている。

「おはようございます!」
 着替え終わってコンシェルジュカウンターに向かうと、深夜勤務だった男性が疲れた表情でこちらを見て手を挙げた。
「おはようございます……」
「あれ? どうしたんですか? とてもお疲れのように見えますが……」
「そうなんですよ。昨日、瀧沢さまが帰ってこられたのですが、そのときに女性を連れてこられたのですが――」
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