秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「どうしたんだ? ……熱か? 熱いじゃないか」

 この声……は、直樹?

 カウンターの中まで入ってきた人物は、私の体を支えて抱き寄せた。

「あつ……。こんなに熱があるのに、休まないなんてどういうつもりだ?」

 怒ったような口調だけど、これはきっと心配して言ってくれているのだと気づく。うっすらと目を開くと、眉根を寄せて心配そうに私を見つめる直樹がいた。

どうして直樹がここに?

 私服の直樹を見て、今日は休みなのかと気づく。だからこんな時間にここにいるんだ――

「……だい、じょうぶ……だから」
「大丈夫なわけないだろう。すぐ会社に連絡してやる。お前は奥で休むんだ」
「だめ……休め、ない……」

 それでなくても休みをもらったところだ。子どものことで休みをもらうことが多いのに、自分の不調で休むなんてできない。

 この先だっていつ子どもが体調を崩して休むかもわからないから、それ以外のことで休むのはしないと決めている。だから――
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