秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「バカなことを言うな。お前が倒れたら、子どもの面倒は誰が見るんだ。まぁ……旦那が協力してくれるとは思うけど……。母親の元気がなければ、子どもが心配するだろう」
「小野寺くん……」
直樹の言う通りだ。
もし私が倒れてしまったら、樹里の面倒を見る人がいなくなる。意地を張らず早めに帰って休むほうがいいのかもしれない。
考えて返事を躊躇っていると、直樹は体を屈めて膝の裏に腕を回す。そして私の体を持ち上げてお姫様抱っこをした。
「ちょ……っ、小野寺くん!?」
「いいから、奥に行くぞ」
軽々と持ち上げる直樹に戸惑っている間に、私は奥にあるスタッフルームへ連れ去られる。そしてその中にある四人掛けのソファに降ろされた。
「ここで待ってろ」
「あ……!」
私を寝かせて踵を返した直樹は、スマホを取り出しどこかに電話をしはじめた。
「お久しぶりです、小野寺です。そちらに――さんはいらっしゃいますか?」
一体どこに電話をしているのだろう?
また助けてもらってしまったな。
直樹って、どうしていつも私がピンチのときに助けてくれるんだろう。
まるでヒーローだ。