秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「さ、乗って」

 支えられながら助手席にエスコートされる。高級車の助手席は二度目だ。
 昔、初めてのデートのときに乗せてもらった以来。

 座り心地のいい座席に座ると、直樹はシートベルトをしてくれる。その瞬間、顔と顔が近づいて目が合った。

 奥二重の目に、高い鼻、形のいい唇が間近にあって、思わず見とれてしまう。
 口調は強いのに、行動はとても優しい。
 やっぱり直樹は格好いい。年を重ねて、より素敵な男性になった。

 こんな魅力的な人のことを誰も放っておかないよね。きっと恋人いるんだろうな……。

 私と別れたあと、どんな人と付き合ったんだろう?
 今はどんな人と付き合ってる?

聞きたいけれど、聞きたくない。
嫉妬して悲しむことが想像つくから。

 そんなことを考えながらじっと見つめていると、直樹はおもむろに目を逸らした。
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