秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
そして後部座席に乗れば……何とか乗り切れるような気がする。
あまり頭が回っていない状態で樹里を連れて園の外に出ると、車から下りて私たちのことを待っている直樹の姿が見えた。
「ママ……あのひと、だぁれ?」
「え……っと、知り合いのお兄さんだよ」
「もしかして……かれし?」
「ええ?」
樹里からそんな言葉を聞いて驚いた。
彼氏なんて言葉、いつ覚えたの?
「そんなわけないでしょ」
「そうかな……。じゃあ、パパ?」
違う、絶対に違うと否定しても、樹里には響いていない様子で、直樹に興味津々みたい。一歩一歩近づいていくたびに、胸を躍らせて私の手を離して走り出そうとする。
「だめ、先に行かないで」
「いきたい!」
力が入らない手を振り払われてしまい、樹里は直樹のほうへ走り出した。そして直樹の脚元へ近づくと、ぎゅっと抱き付いて顔を上げて直樹の顔を見つめる。
「こんにちは! じゅりだよ」
「樹里……ちゃん?」
園児帽子を被らせていたのに、上を向いたせいではらりと地面に落ちる。二つくくりにした髪も、短い前髪も、直樹にそっくりな顔も見られてしまった。
あまり頭が回っていない状態で樹里を連れて園の外に出ると、車から下りて私たちのことを待っている直樹の姿が見えた。
「ママ……あのひと、だぁれ?」
「え……っと、知り合いのお兄さんだよ」
「もしかして……かれし?」
「ええ?」
樹里からそんな言葉を聞いて驚いた。
彼氏なんて言葉、いつ覚えたの?
「そんなわけないでしょ」
「そうかな……。じゃあ、パパ?」
違う、絶対に違うと否定しても、樹里には響いていない様子で、直樹に興味津々みたい。一歩一歩近づいていくたびに、胸を躍らせて私の手を離して走り出そうとする。
「だめ、先に行かないで」
「いきたい!」
力が入らない手を振り払われてしまい、樹里は直樹のほうへ走り出した。そして直樹の脚元へ近づくと、ぎゅっと抱き付いて顔を上げて直樹の顔を見つめる。
「こんにちは! じゅりだよ」
「樹里……ちゃん?」
園児帽子を被らせていたのに、上を向いたせいではらりと地面に落ちる。二つくくりにした髪も、短い前髪も、直樹にそっくりな顔も見られてしまった。