秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「……もう体調は大丈夫なのか?」
「あ、はい。この間はありがとうございました。おかげさまで、もうすっかりよくなりました」
「敬語はやめろ。今は仕事中じゃないだろ」
「あ……。うん」
そう指摘されて、しゅんと肩を落とす。
「で、どこから話を聞けばいい?」
「どこから、って……」
妊娠した話?結婚するって言っていたのに、実はあれは義父だったこと?
どの辺りから話せばいいのか考えていると、再び直樹が口を開く。
「嘘はつかないで、全部正直に話してほしい。俺は君の生活を壊そうとしたり、危害を加えたりしないから安心してくれ」
「うん……」
身を縮めて緊張していると、直樹から「リラックスしてよ」と苦笑される。久しぶりに見た直樹の笑顔を見た……と言っても苦笑いなのだけど。
その笑顔が懐かしくて、緊張が少し解ける。そのタイミングで店員さんがコーヒーを届けてくれて、場が少し和んだ。
「一番気になっていることより前に、ちょっと聞いてもいい?」
「うん。……何?」