秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
直樹のお母さんにふたりは結婚できないと告げられたこと、その後別れようと思いながらも、直樹と一緒にいたくて別れられなかったこと、それから妊娠が発覚したこと――
それらを話すと、直樹は絶句して私を見つめていた。
「母さんがそんなことを……」
「お母さんを責めないで。そういう家なのだと教えてくださっただけ。私たちのことを反対していたわけではないの。いずれそういうときが来ることを事前に教えてくれたのよ」
小野寺家は一般家庭ではない。それは最初から分かっていたことだし、私たちに忠告をしなければならなかったお母さんの心中を察すると胸が痛む。
「勝手に決めてごめんなさい。直樹の赤ちゃんを諦めるなんて、私にはできなかった。だから、私……」
「あの子の名前は……じゅり?」
「え、あ……うん」
「どんな漢字?」
以前に聞かれたときは、名前からふたりの子どもだとバレるのが怖くて言えなかった。だけど今回はもう知られているから問題ない。