秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「直樹の樹に……友里の里。ふたりの漢字から一つずつ取ったの」
「やっぱり。樹里って聞いたあと、もしかしてそうかなと思ったんだ」
嬉しそうな表情を浮かべる直樹に驚いていると、彼は身を乗り出して話し出す。
「生まれたときは、どんな感じだった? 写真はないのか?」
質問はそれだけでは終わらず、私が返事をする前に「妊娠中に、何かトラブルはなかったのか?」「産んでから大変だったことは?」「樹里の小さいときは、めちゃくちゃ可愛いかったろうなぁ」「今でも可愛いけど」と、話しがコロコロと変わっていく。
「……で、写真は?」
「家に、あるよ。スマホじゃないから、携帯の画素数があまりよくないから……貰い物のデジカメで撮ってて」
「あー、そうなんだ。っていうか、まだスマホじゃないの? 不便じゃない?」
……む。
そう言われても、今までずっとガラケーしか使ったことがないから、別に不便だと感じてはいない。それにお金に余裕がないから通信費がたくさんかかるのは困る。
「不便じゃないよ」
「今度の日曜日、一緒に機種変更しにいこう」
ええーっ、なんでそうなるの?話が変な方向に行っている気がしてついていけない。