秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「行かないよ。どうして機種変更するの?」
「俺ともっとちゃんと連絡を取れるようにして。それから写真をいっぱい撮って送ってもらえるようにしたい」
「ええ……?」

 突然の話に困惑していると、直樹は話を続けていく。

「あの子が俺の子かもしれないって思ってから、ずっと考えていたんだ。友里のことや子どものこと。それから俺はどうしたいんだろうって」

 直樹は真剣な眼差しで私をまっすぐ見つめる。

「俺は友里とやり直したい。俺たちの子どもを一緒に育てたい。本当なら妊娠したときに打ち明けてほしかった。妊娠中も、出産のときも、生まれたあともずっと傍にいたかった」

 直樹から「友里」と呼ばれて、胸が跳ねた。
 懐かしい呼び方に喜びが込み上がっていく。ずっとそう呼ばれたかったのだと気づいた。

「妊娠したとき、すぐに教えてほしかった。でも……それは俺のせいだよな。俺が男として頼りなかったから……。本当にごめん」

 妊娠が発覚したとき、もしかしたら困らせるんじゃないかと怯えたけれど、あのとき正直に話していたら、彼はこんなふうに喜んでくれていたのかもしれない。もっと直樹を信じて飛び込めば、よかったのかも。

 でもあの頃は、切羽詰まっていて余裕がなくて、そんなことまで考えられなかった。
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