秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
樹里とふたりで話をしていると、うちのインターホンが鳴らされた。
まだ少し早いし、直樹じゃないだろうと扉を開けたのに、そこにいたのは私服の直樹だった。
「お……っ、小野寺くん?」
「おはよう。迎えにきたよ」
「わー! おにいちゃん、おはよう。どうしたの、じゅりにあいにきてくれたの?」
私の背後から樹里が現れて、きゃっきゃとはしゃいで直樹のほうに抱きつく。いつの間にこんなに懐いたのだろうと驚いてその様子を見ていた。
「樹里ちゃんおはよう。今日はこれから三人で出かけるよ。一緒に遊んでくれる?」
「うん! やったー」
樹里の視線に合わせてしゃがむ直樹は、樹里の目を見て優しく微笑みながら話す。樹里は嬉しそうに手をあげて喜んでいる。
「友里、行こう」
ふたりの仲睦まじい様子に圧倒されて茫然としていると、直樹は私の手を握って一緒に行こうと誘う。
久しぶりに感じた大きな手のぬくもりを感じて泣きそうになった。
それに気づかれないように、少し俯く。
「う、うん……」
急いで荷物を持って家を出ると、目の前にワンボックスカーが停めてあり、直樹は後部座席の扉を開いて待ってくれていた。
「さ、乗って」
「ありがとう」
先に乗っている樹里は、チャイルドシートに乗せてもらい、準備万端みたい。私が来るのを今か今かと待っている。