秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「ママ、はやく!」
「うん」

 広々とした後部座席。三列シートなので、まだ後ろにも座席がある。吊り下げ式の後席モニターがついていて、テレビが見られる仕様になっていて驚く。

「樹里……テレビがついてるね」
「うん、車についてるなんて、すごい」

 ふたりで見上げながら、すごいなと感心していると、直樹が運転席に乗り込んできた。

「さて、出発するよ。まずは友里の携帯の機種変更から」
「ええ……っ? それは本当にいいんだってば」
「ダメ。俺が困るから、スマホにして」

 私がガラケーなことで、どうして直樹を困らせるのよ?と疑問に思っているうちに、携帯電話ショップへ到着してしまった。

 同じキャリアで今の番号のまま機種変更しようかと考えていたのだけど、直樹が電話代の支払いをしたいと言い出して聞かず。
しかし名義と支払者が家族でないとできないと断られる。

「そうなんだ。どうする? 今すぐ籍入れに行く?」
「バカなこと言わないで。いいよ、自分で払うから」
「ダメだ。俺のワガママでそうしてって言ったんだから、俺が払う」
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