秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

私たちのやり取りを聞いて、カウンター越しの店員さんは苦笑していた。
樹里は直樹の膝の上に座り、ジュースを飲んで会話を聞いている。

「じゃあ、友里は俺の名義の携帯を持って。それだったらいい?」
「そんなことしてもらわなくて大丈夫だよ、本当に大丈夫だから」
「遠慮はいいから。もう決めた」

 半ば強引に機種変更をしたのち、その後名義変更をして直樹の名前へと変更した。そして支払いは全て彼がしてくれることになってしまった。

「もう……本当に強引なんだから」
「いいじゃん。なおくんがいいってゆってるんだし」
「樹里まで!」

 ねーっと顔を見合わせる直樹と樹里。なんでそこは意見が一致してるのよ、と私だけがのけ者みたいで膨れる。

「樹里ちゃんは俺の味方だよな?」
「なおくんかっこいいから、すき!」

 恋人同士のような距離感でラブラブのふたりに呆れながら、新しいスマホを手に取ってみる。今までの小さな画面と打って変わって、大画面でタッチして操作することに感動した。

「わぁ……こんな感じなんだ……」
「これで写真が撮れるから……ほら、簡単だろ?」
「うん、デジカメより綺麗かも。すごい」
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