秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
正確には十か月のころからだ。片親ということもあり、すぐに保育園に入れてもらえることが決まって、一歳になる前から行き始めた。
休学していた大学を復帰し、空いた時間はアルバイトをしていたころを思い出す。

「最初は泣いていたけど、今では保育園楽しいって言ってくれているよ」
「そうじゃなくて……産後、ゆっくりできなかったんじゃないのか? 友里は一人で産んで育てて、大変だっただろう?」

 最初は母や義父がいる家にいたので、何かと手伝ってもらえた。けれど、三ヵ月したくらいで、私は今住んでいるアパートを借り樹里と二人の生活を始めた。

「そうだね。毎日どうやって生活していたか思い出せないくらい大変だったけど、樹里がいたから頑張れた」

 大学を卒業しなければならない、就職しなければならない、家事をしなければならない、アルバイトをしなければならないという、いろいろなことに押しつぶされそうになりながら、日々目の前のことを追いかけて生活していた。

 それでも樹里が笑ってくれたら、大変だったことも吹き飛ぶ。大好きな人の子どもがいるって最強になれる。
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