秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
直樹は手を伸ばし、テーブルの上に乗せていた私の手をそっと握った。
 この温かい手を信じていいのか、まだ迷っている。

 この四年間、二人で生活をしてきて、いろいろなことがあった。誰かに頼りたくて泣いたときもあるし、なかなか思い通りにならなくて悔しくて辛い日もあった。

 そんなときに、直樹のことを思い出しては、自分を奮い立たせてここまでやってきた。
 自分で決めたこと。

 一人で産んで、誰にも迷惑をかけずに樹里を育てる。

 そう決意したはずなのに、直樹の傍にいると頼りたくなってしまう。弱い自分が出てきて負けそうになる。

「ごめんなさい。小野寺くんを巻き込むつもりはなかったの。だから、責任は感じなくていいんだよ」
「嫌だ。樹里の親なのは俺も同じだ。樹里を守っていく責任を持っているはずだろ」

 一歩も譲るつもりがないようで、直樹は私の手を離さない。

「とにかく今は、無理強いはしないよ。でも考えておいて」
「……わかった」
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