秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
それから席を立った直樹は、キッズスペースにいる樹里のもとへ向かい、おままごとゴッコを始めた。

「じゃあ、なおくんは、パパね」
「パパ?」

 嬉しそうに微笑み、樹里から手渡されたおちゃわんを受け取る。

「そう。わたしがママよ」
「ママ、か」

 父親役になったのだと喜んだのだが、パパというのは樹里の旦那役だったようだ。それでも家族役に入れてもらえたことがよほど嬉しかったのか、直樹の顔は緩みっぱなしだった。

 家族になりたい。

 その言葉を心の中で繰り返して、温かな気持ちが溢れる。
そう思ってもらえることだけでも、本当に幸せだ。

 直樹、ありがとう。
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