秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

 本当は愛されたかった。

 友里のことが好きで好きで仕方なかった。一生懸命愛しているつもりだったのに、冷めさせてしまうようなことをしていたことが悔しかった。

 もっと大事にしてあげればよかった。もっと友里の気持ちを考えてあげればよかった。

何度後悔してもし足りなくて、他の男性を紹介されたときは、絶望に打ちひしがれて、立ち直るまでにかなりの時間がかかったほどだ。
 しかし再会して、本当のことを知り、俺は今度こそ友里を大事にするのだと決めた。

 もう昔のようにはなりたくない。

 友里が安心して頼れるような男にならなければ。友里が俺のもとを去ったのも、俺に何もかも預けられるほどの器量がなかったからだ。

 一人で妊娠に気がつき、別れを決意し、樹里を産んで育ててきた。

 その苦労は計り知れないものだけど、真実を知った今、彼女を支えることが俺にできることだ。

まだ一緒に住むとは言ってはくれないが、休日は一緒に過ごせるように時間を作ってもらえるようになった。

週末になれば一緒に外に出かけて、樹里とめいっぱい遊ぶ。

 それから夕食を食べに行き、別れる。本当なら一緒の家に帰りたいところだけど、そこは我慢。

 俺の気持ちばかり押し付けるのでは、過去の自分と同じだ。あくまで彼女たちのペースに合わせる。大事だから。
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