秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
自分のデスクに戻ってメールチェックをしていると、退社の支度をしている女性社員たちの声が耳に入ってきた。スマホを見ながら話しているようだ。

「ねぇ、この天野さんって人、エキゾチックな雰囲気で格好よくない？」
「最近テレビに出てるね。なんでもＦＸとかで成功している人でしょ？　なんか根暗っぽくない？」
「そうかなー。この危なげな瞳が格好いいんだよ～」

　女性はこういうおしゃべりが好きだな、と微笑ましく思いながら、メールの文字例に目を走らせていると、一人の女性が気になることを言い出した。

「この人、うちのグループ会社のマンションに住んでるらしいね。この前テレビで、コンシェルジュカウンターの人が綺麗なんだって自慢してた。狙ってるのかな？」

　うちのグループ会社のマンション――

　そのキーワードが引っかかり、俺はパソコンで天野という男性を検索してみた。

　すると予感的中。

　先日友里に絡んでいた金髪の男性がヒットしたのだ。

――マジかよ。

　執拗に友里に絡んでいたところを見たけど、あれは完全に狙っている目をしていた。
既婚者であると言っているにもかかわらず、気にする様子もなく口説いていた。
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