秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
無理強いはしない。だけど、これは大きなチャンスかもしれない。
今ここで頑張れば、友里や樹里と過ごす時間を増やせる。

「俺のいないときに、また虫が出てきたらどうする? 夜中とか怖くないか?」
「う……」
「俺の家に虫がいないことは、友里が一番よく知っているだろう?」

 タワーマンションの最上階であるため、窓を開けていても虫が入ってくることはない。ゴキブリなどの害虫に関しても、念入りにメンテナンスをしているので出てくることもない。

 そのマンションの管理に携わっているのだから、そのあたりのクオリティに関しても理解しているはず。
友里の求める安心な生活が営める空間であることを、友里自身が一番よく知っているのだ。

「ねぇー、なおくんちいこうよ」
「とりあえず、今日は俺の家に来いよ。その間に霧タイプの殺虫剤を巻いておけばいいんじゃない?」

 あれこれと提案していくうちに、友里は考えが揺らいだようで悩み始めた。俺はそれを畳みかけるように話していく。
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