秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「友里は仕事場なんだし、通勤時間がなくなるし楽だろ? 樹里は俺が保育園まで送っていくから」
「でも……」
「寝ているときに出てきたら一番怖いだろ? な?」

 ズルいと思いながらも、じわじわと追い詰めていく。最終的に何も言わずに、友里は俺のスーツの裾を握り頷いた。

「行っても……いいの?」
「ああ、いいよ」
「じゃあ、お言葉に甘えて……」

 樹里と顔を合わせて、ハイタッチをする。

「じゅりね、なおくんといっしょにねる!」
「ああ、いいよ。ベッドで三人並んで寝よう」
「もう、勝手にそんなこと決めないでよ。だめよ、そんなの」
「やだ、いっしょにねるの!」

 樹里のお陰で友里たちが俺の家に来てくれることになった。急いで泊りの準備をして、俺たちはアパートを後にした。
平日であるにもかかわらず、何気ない日が特別な日に変わる。
 こんなに胸が躍るような楽しい気持ちはいつぶりだろう。
家族がいるって幸せなことなんだなと感じながら、ふたりを乗せて車を走らせた。
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