秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
直樹のベッドで眠ってしまったので、掛け布団をかけて頭を撫でる。

「ごめんね、小野寺くんのベッドなのに」
「いいよ。樹里ちゃんが寝てもまだ余裕があるだろ?」
「うん、そうね」

 キングサイズのベッドは、清潔に整えられていて、その上ふわふわで寝心地がよさそうだ。気持ちよさそうに眠る樹里を見て、ふっと顔が緩む。
「小野寺くん、ありがとう」
 樹里にいろいろとよくしてくれてありがとう。
 あなたに最低なことをしてしまった私に優しくしてくれてありがとう。
 何度ありがとうと言っても足りないくらい、直樹に助けてもらっている。
 今までは誰にも頼れなくて、一人で全てのことを対処しなくてはならなくて、辛いときもあった。だけど直樹が傍にいてくれるようになって、一人じゃないのだと感じることができて助けられている。
 ベッドに腰かけて樹里の寝顔を覗いている私の隣に、お風呂上がりの直樹が座る。石鹸の香りが漂う彼にドキドキしながら、振り向けずにいた。

「こちらこそ。樹里を産んでくれてありがとう」
 直樹がそんなことを言ってくれるから、私の目に涙が溢れた。
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