秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
直樹のことが本当に好きだから、一人であなたの子を産もうと決意できた。
 産んでからも、樹里が直樹にそっくりで、似ている部分を見つけるたびに嬉しくてたまらなかった。

目の形も、鼻も、笑ったときの顔も。

 直樹との繋がりを感じて、私はそれで幸せをもらっていたのだ。

「友里」

 今にも泣きだしそうな直樹の顔を見て、私の涙が先に零れていく。
 離れていた間も、私たちはずっとお互いを想いあっていた――。それを知った今、気持ちを止められなくなる。

「友里、好きだ」
「私も」

 直樹に引き寄せられて、ぎゅっと強く抱き締められる。もう離さないといわんばかりの熱い抱擁に身を委ねて、私も彼の体に腕を回した。

 直樹……好き。好きっていう言葉じゃ足りないくらい、あなたのことが好き。

 ずっとこうしてほしかった。

 もう二度とこんなふうに抱き合えることなんてないと思っていた。
なのにこうして再会し、素直な気持ちを伝えあって抱き締めてもらえるなんて……。
 なんて幸せなのだろう。
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