秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
 ふっと腕の力が緩められるのと同時に、少しだけ体を離した。そして私を見つめる彼の瞳と視線がぶつかる。

 何も言葉を交わさないまま見つめ合っていると、直樹の手が私の頬を撫でた。指でそっと何度か撫でられたあと、親指で唇に触れられる。

 それだけで私の胸の鼓動は早くなり、触れてほしくてたまらなくなった。

 キス……したい。

 封印していた女性としての欲求が湧き上がってくる。子どもを産んでからこんな気持ちになることはなかったのに、一人の女性として直樹を激しく求めている。

「友里……」

 甘い声で名前を囁かれたあと、彼の顔がゆっくりと近づいてきた。全身が心臓になったみたいにドキドキと胸が高鳴り、彼からの口づけを受け入れた。

 お互いのくちびるを何度も重ねて、想いをぶつけ合う。

 好き、大好き、愛してる……。

 その言葉を心の中で何度も囁きながら、彼とのキスに溺れていく。

 直樹はキスの合間に、何度も好きだと言ってくれた。呼吸を惜しむくらい長いキスをしていると、直樹の手が私の体を触り始めた。
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