秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「直樹ってば……!」
「昨夜の友里を思い出したら、止まれない。今日も、ここに泊まってくれるよな?」
耳元で囁かれて、腰が砕けそう。全力で誘惑されて、抵抗できない。直樹ってこんなにエッチな人だったの!?と戸惑う。
「だめ……だよ。今日は帰らないと」
「早く一緒に住みたい。友里に傍にいてほしい」
そんなお願いをされながら求められて、理性が崩壊してしまいそう。ずっとずっと好きだった人に甘いおねだりをされたら、強く拒めない。このまま流されてしまいたくなる――。
「……考えておくね」
「うん、考えて。仕事中も俺のことを考えていて。俺も友里のこと、考えているから」
ああ、もう……っ。ドキドキが止まらないよーっ。
あの頃に戻ったみたいな……いや、あの頃よりもより積極的に責めてきている気がする。
直樹の本気を見せつけられて、私はフラフラとしながらコンシェルジュカウンターへと向かった。
スタッフルームへ入り、更衣室で着替えている間も、まだフワフワしいている。直樹の手に触れられていた感触が残っているし、キスの余韻だってある。
彼の香りがまだ残る体が熱い。こんな気持ちになったのはいつぶりだろう。早く直樹に会いたくて、彼の顔が見たい。こんなに浮かれてしまって大丈夫なのか心配になるけれど、今は冷静になれそうもない。
はぁ……と、吐息を漏らしたあと、気持ちを切り替えるべく「よし」と声を出して気合いを入れる。
いつも通り髪を一纏めにして制服に身を包み、カウンターへと向かった。