秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

――さて。

 現在在籍していた会社で異動になったことを告げて、身辺整理に取り掛かった。来週からは本社勤務になるので、急いで引継ぎに入る。

「本当に本社に帰られてしまうんですか?」と、何人かの女性に声をかけられ、その流れで「好きです」と告白されてしまった。

みんな社長夫人の座を狙ってすり寄ってきているのだろう。

 それに俺には心に決めた女性がいる。しかも俺の子どもまで産んでくれているんだ。
 他の女性に告白されても、心が揺れることなど一ミリもない。

 今は愛する女性と、その子どもと一緒に過ごす時間が大切で、それ以上の幸せはないと確信している。

 異動が決まったことにより、送別会がいくつか行われることになって長時間仕事関係で時間を拘束されることを余儀なくされた。

 本当ならすぐに家に帰って友里と樹里と一緒にいたいのだが――

 社会人として、ちゃんと挨拶をして去るべきだという常識を優先し、友里たちと過ごす時間を泣く泣く削ることになった。
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