秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
友里の休憩時間を見計らって、電話をかける。少しでも彼女の声が聞きたい。

「今日は帰るのが遅くなる。友里はどうするつもりだ?」
『今日は家に帰るよ。今日はもう、虫も出ないと思うし』

 そうだよな、と肩を落とす。主がいない家に泊まってくれるほど甘くはないよな、と思う。
しかし本心を言えば、あのマンションで友里と樹里がいてくれたら、どれだけ嬉しいかと思うのだ。

 どれだけ遅くなったとしても、寝顔の二人を見れる。寝ていてもいいから、友里の姿を一目見たいという欲が出てくる。

「俺はいつでも家に来てくれていいと思ってるからな」
『……ありがとう』
「しばらくは忙しくなりそうなんだ。祖父が会長を退任することになったから、本社に戻ることになった。いきなり社長にってことにはならないだろうけど、それなりの準備があって……」
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