秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
そのままメモを置いて寝室に向かうと、俺のベッドの上で樹里と友里が眠っているのが見えた。
 来てくれたのか……。

扉を開ける微かな音で反応したようで、友里は目を覚まして体を起こした。

「直樹、おかえり」
「ごめん、起こしたか?」
「ううん、大丈夫」

 そう言って、そろりとベッドから抜け出して、友里は俺の傍まで歩いてくる。
 久しぶりの友里を見て、俺は思わずぎゅっと抱き締めた。

「友里、会いたかった」
「直樹……。お疲れさま。急に来ちゃってごめんね」

 そんなのいいに決まっているだろ。毎日でも来て欲しいくらいなんだから。
俺の家の鍵はすでに預けてあるし、好きなときに来てくれたらいい。

「もう、ここに住んでくれよ。友里に毎日会わないと……寂しくてたまらないんだ」

 疲れと寂しさのせいで、泣きごとを言うみたいで格好悪い。だけど友里には誰にも見せないようなところも見せてしまう。
 格好いい男でいようと思うのに、友里の前では甘えたくなる。
< 161 / 232 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop