秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「ありがとう。私も……寂しかった」
友里の手が背中に回ってきて、その小さくて細い手が愛おしくてたまらない。このまま離したくないと強く思うけれど、必死で理性を働かせる。
「俺、風呂に入ってくる。友里はもう寝るよな?」
今日の会食の相手は煙草を吸う人だったから、臭いかもしれない。少し離れて友里の顔を覗き込んだ。
「ううん、待ってる」
「いいの?」
「うん」
「じゃあ、待ってて」
軽くキスを交わして、俺はバスルームへ向かった。
約束通り、風呂から上がってくるまで友里は待ってくれていた。髪を乾かす時間さえ惜しくて、濡れたままで友里に抱きつく。
会えなかった時間を埋めるように、友里の甘い香りに酔いしれる。
吸い寄せられるみたいに彼女に密着して、こみ上げてくる愛おしさをぶつけるようにキスをした。
「友里、好きだよ」
五年間、抑えていたぶん、自分でコントロールできないほど友里を求めている。
「直樹……。疲れているんじゃ、ないの……?」
「疲れてる。だから友里が欲しい」