秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「可愛いよね、樹里ちゃん。僕も一緒に遊びたいな。樹里ちゃんは、何が好き? 僕さ玩具メーカーの株主だから、玩具とか簡単に手に入れられるんだよね。樹里ちゃんの欲しいもの、何でも用意できるよ」
目を細めながら楽しそうに話す天野さんを見て、どう切り返せばいいだろうかと頭の中で考える。きつく突っぱねることが効果的なのか、それともやんわり断るべきか。
相手は入居者さまなので、不快にさせてしまうものいけない。
しかし気のあるような素振りを見せるのもよくないだろうし、ここは毅然と断るべきだと考える。
「天野さま、お気遣いありがとうございます。誠に申し訳ございませんが、そのように特別扱いしていただくわけにはいきません。お気持ちだけありがたくいただいておきます」
「遠慮しなくていいよ」
「遠慮していませんよ、ありがとうございます」