秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
私自身、おしゃれに興味がないわけではないけれど、そもそもお金がない。
上を見ればキリがないので、興味のないフリをして勉強ばかりしていた。
特進コースのクラスの子は、一般家庭の子の寄せ集めだったので、浮くことはなかったし勉強をしていれば何とか時間は過ぎた。
学校内ではヒエラルキーが存在していて、やはり大企業の社長の息子や政治家の娘などがその頂点にいる。
その中に小野寺直樹がいた。
サッカー部のキャプテンで、長身、イケメンで、しかも小野寺グループという大企業の息子。その上友達が多くて、性格もいいらしい。
体育祭では応援団長を務めあげ、三学年を纏めるリーダーシップを見事にとっていた。
そんなキラキラしている小野寺くんを、遠くから見ている私。特に輝くわけでもなく、平々凡々とした勉強ばかりしているどこにでもいる女子。
別に彼に対して特別な感情はなく、ただ「凄いな」と思って見つめているだけ。あんなふうに何もかも手に入れて楽しそうにしているのが、素直に凄いと眺めている。
妬むとかそういう感情など生まれないくらい、ただただ尊敬していた。