秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
生まれたときから父親がいない樹里にとって、そのたびに寂しい想いをさせていたかもしれない。

「あのね、直樹は樹里の本当のパパなんだよ。ずっと離れて暮らしていたけど、パパも一緒に住めることになったんだ」
「ほんと!?」

 目をキラキラとさせて、樹里は私の手を握る。嬉しくてたまらないと弾けるような笑顔で喜ぶ。

「なおくんがパパでうれしい!」
「うん、そうだね。ずっと寂しい想いをさせてごめんね」
「ううん、だいじょぶ! ママがいたからさびしくないよ」

 そう言ってくれる樹里が愛おしくて、その小さな体をぎゅっと強く抱き締めた。

「樹里、大好きだよ」
「じゅりも、ママがだいすきだよ」

 一番大事な樹里に承諾してもらえた次は、直樹だ。彼なら喜んでもらえると思うけれど、一緒に住みたいと言うのは緊張する。

 喜んでくれるかな?

 やっぱり嫌だと思われたりしないかな?と不安に思いながら、今日も樹里とともに直樹のマンションで待っていた。
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