秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「かえってきた!」

 リビングで遊んでいた樹里が玄関のほうに走り出し、直樹に「おかえりーっ」と元気よく声をかけていた。そのあとはキャッキャとはしゃぐ声が聞こえて、一緒にじゃれ合っているみたい。

 私も玄関のほうに向かって歩いていくと、直樹に抱きかかえられている樹里を見つけた。

「おかえりなさい」
「今日も来てくれてたんだ! ありがとう」

 樹里を抱きかかえながら、直樹は私のことも抱き寄せる。そして大きな手で頭を撫でてくれた。

「今日は早く帰れたんだ。これから一緒に食事をしたいなって――」

 疲れているはずなのに、空いた時間を見つけて私たちとの時間を作ろうとしてくれていることに嬉しくなる。

「ご飯作っておいたよ。美味しいか……わからないけど」
「友里が作ってくれたものなら、何でも美味しいよ。腹減った、食べたい!」
「じゅりも! おなかすいた~」

 三人でご飯にしよう!ということで、私たちはダイニングテーブルに向かい合うように座って食事を始める。
直樹は何を食べても「美味しい」と言ってくれて、おかわりをするくらい食べてくれた。
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