秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
「ってことだから、今から買い物! 樹里も行くよ」
「はーい」

 お人形を棚に戻したあと、樹里は直樹のほうに駆け寄ってきた。直樹は樹里を抱きかかえて楽しそうに歩き出した。

「樹里のお洋服も買おう。可愛いフリフリのやつとかどう?」
「ほしーい」

 さすが親子だな、と思うような息の合いように思わず噴き出してしまう。いつもこのふたりが盛り上がるものだから、私はつられて行ってしまう。
それが楽しくていいのだけど。

 それから三人で百貨店へ向かい、直樹のおすすめするショップへと足を運んだ。彼のチョイスする服をいくつか試着してそれを買う。

 悩むなんて素振りなんてなくて、「これも、これも」とお会計へと進んでいく。

「多くない?」
「多くないよ。っていうか、友里が持っていなさすぎなの。急にどこかに出かけることになったときに、焦って買いに行かないといけなくなると大変だろ? いろいろな種類の服は大人として持っておくべき」
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