秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
そんな天地の差のような私たちに共通点などないし、クラスも違うし、接点もなかったのに、ある日突然声をかけられた。
「椎名さん」
休み時間、手を洗いに行こうと廊下を歩いているとき、突然男子に呼び止められる。
誰だろうと振り返ると、そこには小野寺直樹が立っていた。
「……はい」
「特進クラスの椎名さんだよね?」
「はい、そうです」
初めて間近で見る小野寺直樹の格好よさに目を奪われる。
芸能人と言われたら納得してしまいそうな整った顔立ちに、見上げるほどの長身。手足が長くて男らしい体つきをしていることが制服越しに伝わってくる。
条件反射的にドキドキと胸を高鳴らせながら、何の用だろうと彼の美しい顔をじっと見てしまった。
「突然ごめん。実はさ……俺に勉強を教えてほしいんだ」
「え?」
勉強を教えてほしい?
どうして私に……?
「椎名さんって、学年でトップ5に入るでしょ? だから、教えてほしくて。俺、今年の夏まで部活ばかりしていて、あまり勉強できていなくて……」
少し照れたように頭を掻きながら話すところは、あどけなくて可愛い。申し訳なさそうにお願いする様子がとても好印象だった。